【8】 砥石となれ
故市橋紀彦師範には、合気道学校時代に技の細かい留意点をたくさん教わりましたが、稽古での心掛けについてもしっかり教えていただきました。市橋先生が言われていたことをまとめてみました。
● 基本が大事
有段者ともなれば一通りの技はできるはずだが、そこに「基本」ができていないとダメ。呼吸投げ一つとっても手の動きが大事。開祖の銅像を見てごらん。掌は横でも下でもなく、上を向いている。そういう事がしっかりできていなければならない。
● 技を練る
技は単なる動作の問題ではなく、その人の思想、心の表れである。稽古は体力と力任せにただガツガツやるだけではダメ。動きを練る、技を練ると言う気持ちでないといけない。
● 相手と一緒になる
技はきちんと効かなければならない。しかし、技が効いたとか、痛かったとか言う相手との相対的な事を問題にしている内は、まだまだダメ。相手と自分ではなく、相手と一緒になるようにする。
● 砥石となれ
自他共に己を研く砥石となれ。自分も研く、相手も研く。お互いに相手の砥石となる気持ちで修業することが大切。
市橋先生の技の説明は、いつもワンポイントでした。「構えない」、「手は自分の顔の前に上げる」、「もう半回まわる」、「足の親指を外に」 そしてその都度たくさん投げていただきました。まさに先生ご自身が砥石となられ、私達を鍛えていただいたのだと思います。
★ 故市橋紀彦師範による自由演武 |
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