【25】 正勝 吾勝 勝速日

正勝(まさかつ)吾勝(あがつ)勝速日(かつはやひ)は、開祖が良く言われた言葉で、合気道を修業する者にとってはとても大切な言葉です。「合気神髄」には、「最も重要な事柄は、正勝、吾勝、勝速日の御事に神ならわねばならない。正勝は屈せぬこと、吾勝はたゆまぬこと、勝速日は勝利栄光をいう。」とあります。


植芝吉祥丸二代道主が編著された「植芝盛平生誕百年 合気道開祖」(昭和58年5月20日第1刷・講談社発行)には、もう少し詳しく書かれていますのでご紹介します。


★「植芝盛平生誕百年 合気道開祖」-正勝、吾勝、勝速日- 抜粋
開祖が好んで口にした「正勝」、「吾勝」、「勝速日」の三語は、開祖が合気道の理合いの要諦を端的に啓示したところの、開祖独特の成語であった。


その意は、「正勝」とは心に正しき義をもって不義なるものに勝つべき信念のこと。「吾勝」とは己れの我執我欲を克服してすなわち己れにうち勝つべき信条のこと。そして「勝速日」とは、実践の場においてはいっさい遅疑逡巡することなく一瞬にして相手を制すべき機先の動のことをいう。


日ごろのたゆまぬ、ひたむきなる稽古修業の積み重ねにより、この合気の三要諦を心身に自得したならば、その者はいわゆる「戦わずして常に勝つ」の境地にいたりうるとする啓示であある。


開祖道話───
「合気道においては、こちらから攻めるということは絶対にない。攻めかかるということは、己れの必勝の自信の未だ足らざる証拠であり、すなわちその気持ちがすでに己れの精神の負けを感じていることにほかならなぬからである。」


合気道においては、絶対に相手に無理に逆らおうとはせぬ。相手の攻めかかってくる無謀なる力を全面的に利用して、相手が己れの無謀なる暴力のゆえにみずから抑制することができず、みずから空転して倒れるよう、<気・心・体>の妙用をもって導くだけの話である。したがって、相手に無謀なる暴力があればあるほど、こちらは楽なのである。


すなわち、戦わずしてすでに勝つところこそ、合気道が要諦とするところの「正勝」、「吾勝」、「勝速日」の大いなる価値があるのである。




<ご参考>
正勝 吾勝 勝速日は、古事記に出てくる神様の名前です。天の岩戸で有名な、天照大御神の長男で、正勝吾勝勝速日天忍穂耳命といわれます。正勝吾勝勝速日は神様を讃える言葉で、天忍穂耳命(あめの おしほみみの みこと)が名前です。





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