古事記研究 【7】

第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放

 1.天地の始まり  6.天照大御神と須佐之男の命

 2.伊耶那岐の命と伊耶那美の命  7.誓約

 3.伊耶那美の命の死と火神への制裁  8.天の岩戸

 4.黄泉の国  9.五つの穀物誕生

 5.伊耶那岐の命の禊 10.八俣の大蛇退治
目次第1章第2章第3章第4章◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順)


第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放

7.誓約

天照大御神は、まず須佐之男の命の十拳の剣を受け取るや、三片に打ち折って息を吹きかけ、3柱の女性の神をお生みになりました。


須佐之男の命が天照大御神の左の髪に巻かれた大きな勾玉のたくさんついている珠の緒を貰い受けて、噛みに噛んで、息を吹きかけますと正勝吾勝々速日天之忍穂耳の命をお生みになり、つぎつぎと計5柱の男性の神をお生みになりました。


天照大御神は、須佐之男の命に「五柱の男の子は、あたしの玉から生まれたのだから当然、わたしの子です。先に生まれた三柱の女子は、お前の剣から生まれたのだからお前の子です」と言いました。そこで須佐之男の命は天照大御神に「おれの心は潔白です。おれが生んだ子は女の子でした。当然おれの勝ちだ」と言いました。


須佐之男の命は、勝ちに乗じて天照大御神の田の畔を壊して溝を埋め、また新穀を召しあがる御殿に糞をしてしまいます。しかし、天照大御神は、そんな乱暴をした須佐之男の命をとがめずむしろかばっていました。須佐之男の命の乱暴はひどくなる一方でした。ある時、天照大御神が機織場で神に奉る衣を織っておられる時に、須佐之男の命は、その機織場の屋根に穴をあけ、天の斑馬の皮を剥いで落とし入れるといういたずらをしたのですが、そのせいで丁度そこにいた天の機織女が死んでしまいました。


【追:本来「誓約」は条件を提示して行うのがルールです。例えば「私が女の子が生んだら私の勝ち」 しかし、ここではそのルールが明示されていません。古代では男の子が生まれたら勝ちと言うのが多かったようです。また、自分が生んだからなのか、自分の所有物から生まれたからなのかと言う、前提条件も明示されていません。このあたりを「古事記」は、敢えてあいまいにしている理由があるようです。】


◆天照大御神(あまてらすおほみかみ)と須佐之男(すさのを)の命の誓約から生まれた神

◎須佐之男(すさのを)の命の十拳の剣の三片から生まれた神
 ・多紀理毘売(たきりびめ)の命 [別名:奥津嶋比売(おきつしまひめ)の命]
 ・市寸嶋比売(いちきしまひめ)の命 [別名:狭依毘売(さよりびめ)の命]
 ・多岐都比売(たきつひめ)の命
◎天照大御神(あまてらすおほみかみ)の勾玉から生まれた神
 ・正勝吾勝々速日天之忍穂耳(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみ)の命
 ・天菩比(卑)(あめのほひ)の命 [別名:天之菩卑能(あめのほひの)命]
 ・天津日子根(あまつひこね)の命
 ・活津日子根(いくつひこね)の命
 ・熊野久須毘(くまのくすび)の命


【追:正勝吾勝々速日天之忍穂耳の命の「正勝吾勝々速日」は神を讃える言葉です。
「正勝」は屈せぬこと、「吾勝」は撓まぬこと、「勝速日」は勝利栄光です。


★ 道 歌 ★

・正勝吾勝御親心に合気してすくい活かすはおのが身魂ぞ
・世を思い嘆きいさいつまた奮いむら雲の光はわれに勝速日して



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