心に残る教え 5. 牛若丸と相抜け
故奥村繁信師範の教えです。
奥村先生には、合気道学校時代に沢山のことを教わりましたが、この牛若丸の話は何度もお聞きしました。
「相抜け」の教え
京の五条の橋での牛若丸と弁慶の戦い。この時の牛若丸の「相抜け」が最高の勝ちの納め方であると教わりました。 争わないという勝ち方は、相手を傷つけず、自分も傷つかない理想の形です。 合気道探求第3号・第4号にこのお話が掲載されていますので、ご紹介いたします。
本来であれば、ぜひ全文をお読みいただきたく「合気道探求」同号のご購入をお勧めしたいところですが、現在では入手が難しくなっております。 当会会員の方には、私の手元にあるものを貸し出しいたしますので、ご希望の方はどうぞお申し出ください。
これから合気道をはじめる人のために
合気道探求第3号・奥村先生の投稿記事より以下を抜粋しました。
自分に勝ってからはじめて他人に勝つことが出来る。他人に勝つには次の四つの勝ち方がある。
- 殺-切る、突く、打つ、蹴る、締める
- 傷-切る、突く、打つ、蹴る、締める
- 生けどる-なげる、おさえる
- 争わない-かわす、相抜け
この四つの勝ち方の中で、最上は4.の「相手と争わない」である。争っても、相手を殺したり傷つけたりしないで、暴力だけを封じ、相手を生けどる3.の勝ち方が大切である。 殺傷は最も下手な勝ち方で、遺恨を残す。
わが国では理想の勝負像として、牛若丸と弁慶の、京の五条の橋の上のわたり合いを、フィクションとして九百年間伝えて来た。 「相抜け」が最高の極意であることを強調しておく。合気道は技術的には、相手を殺傷する事のない「生けどり研究」であることを忘れてはならない。
合気道の修業を始めるにあたって
合気道探求第4号・奥村先生の投稿記事より以下を抜粋しました。
古来、我が国では、日本武道の理想的勝負像を、牛若丸と弁慶の、京の五条の橋の上の立ちまわりに、これを求め、900年もの長きにわたって、 子々孫々に、このエピソードを伝えて今日まで来ているのであります。
ちなみに、牛若丸の先生は、鬼一法眼であります。われわれ合気道の修行者もこれをお手本とし、 絶対に相手とは衝突することなく、常にすれちがい、かわし、組むことなく相抜けて、相手を殺傷せずに生けどってしまうという、 投げ技、おさえ技を体現しなければならないのであります。
※鬼一法眼については、奥村先生の「文武両道」にも出てきます。文武両道→はこちら