心に残る教え 8. 5センチの違い
故藤田昌武師範の教えです。
先生がすぐそばにいらっしゃる時にはできるけれど、先生がおられない時にはなかなか上手くいかないことがあります。その一つに「5センチの違い」というのがあります。
5センチが天国と地獄の分かれ目
相手と稽古をしている最中に、先生が私の手をほんのちょっとだけ相手側に引かれることがあります。 私は何もしていないのに相手は勢いよく倒れます。相手はびっくりしますが、それ以上に当の私がびっくりします。 たったこれだけのことで、こんなにも簡単に軽く相手が崩れるのか、本当に驚くべき体験です。
先生は私の手を相手側にちょっと引かれるようにされるのですが、その時私は手だけではなく、体ごと相手側に引っ張られていきます。 ほんのちょっとの力で体全体が動くのです。本当に不思議です。
先生は技の種類に関係なく、「あと5センチ入身しなさい。この5センチが天国と地獄の分かれ目になる」と言われます。 この5センチの差で、相手が崩れるか崩れないかが変わるのです。まさに天国と地獄の差です。
あとちょっと
先生は「大体は良いんだが、あとちょっとの工夫」とか「ちょっと違う」とか言われます。 先生からすれば全く違うのでしょうが、それをちょっとと言ってくださるところが先生の優しさだと思います。 しかし、そのちょっとができるかできないかでまるで別物のように変わると思います。
第一教で手を上げていく時、あと5センチ入身する。入身投げで相手の側面に入身する時、あと5センチ入身する。 この5センチは、体だけでなく心も5センチ入身することが大切ではないかと思っています。心(気持ち)が5センチ前に出れば、体も自然と5センチ前に動くのではないでしょうか。