【23】 演武会について
今はどこでも盛んに演武会が行われていますが、昭和29年まではそうではありませんでした。古来武術・武道と言うものは、人前で技を見せるものではなく、もしどうしても見せなければならない場合でも、宗家が演武をするのみで弟子は行わないのが当たり前でした。
開祖の考えも全く同様でした。しかし、二代目道主吉祥丸先生が、合気道をもっと一般の人に知ってもらい、親近感をもってもらう為に、デパートの屋上で公開演武会を開き、しかも演武は、開祖の演武だけではなく、門弟たちも演武することを計画されました。計画の内容を聞かれた開祖は、当初烈火の如く猛反対されたましたが、最後は了解されました。
そして、昭和30年9月末から10月初めにかけて、東京日本橋の高島屋の屋上で、合気道史に残る初の一般公開演武が行われました。詳しくは、二代目道主吉祥丸先生が書かれた「合気道一路」(出版芸術社発行)に書かれています。その後日比谷公会堂での演武大会から、現在の日本武道館での「全日本合気道演武大会」に推移し、全日本合気道演武大会は、今年(平成22年)で第48回となりました。
故藤田昌武師範は、「やれ演武だ、やれ審査だと言って特別な事をするんではない。普段通りにやれば良い。特に演武は人前で派手にやりたがるが、私はああいうのはあまり好まない」と言われ、いつも演武会では基本の体捌きを中心に演武をされていました。私も審査、演武を意識しないように努力はしておりますが、やはりまだ意識してしまいます。
本部道場の合気道学校に通っていた頃、演武会での注意事項をいくつか教わりました。
・きちんと着装すること
・速やかに入場すること
・きちんと整列すること
・きちんと礼をすること
・歩く時は直角に進む
・技は、普段通りに行う事
・終了の太鼓がなったらすぐ終わる事
・速やかに退場すること
少し説明を加えます。
・入退場は、走る必要はないが、入場は速やかに進み、すぐ座る。退場も同様。
・整列する時は、前後左右の畳の線に合わせ、座る時は、膝頭を畳の線に合わせる。
・定位置に進む時は、直角に進み、斜めにショートカットしない。(戻る時も同様)
・礼をして、イチ・ニ・サンと数えてから頭を起こす。
・数組で同時に演武を行う時は、畳一杯に広がる。
-演武中、真ん中にかたまりがちなので注意。
-各組が、正面に対しジグザグ(鋸状)になると、畳を広く使える。
・終了の太鼓がなった時、技が途中の場合は最後まで行う。終えたらすぐに定位置へ戻る。
・退場の途中で、しゃべらない。(「良かったね」、「お疲れさんでした」等は無し。)
なんだか幼稚園の運動会のようですが、実はこれがきちんとできる事は難しいことです。