【36】 5センチの違い
故藤田昌武師範から教わったことは沢山あります。先生がすぐそばにおられる時にはできるけれど、先生がおられない時にはなかなか上手く行かないことがあります。その一つに「5センチの違い」というのがあります。先生は技の種類に関係なく、「あと5センチ入身しなさい。この5センチが天国と地獄の分かれ目になる」と言われます。
先生に手取り足取りで教わっている時には、実際は5センチではなく、10センチであったりもしますが、とにかくあとほんの少しの入身で相手が大きく崩れるのが体で分かります。
また、先生は「大体は良いんだが、あと一寸の工夫」とか「一寸違う」とか言われます。私のような凡人には同じでも、先生からすれば全く違うのでしょうが、それを一寸と言ってくださるところが先生の優しさだと思います。しかし、その一寸ができるかできないかでまるで様子が変わると思います。
第一教で手を上げていく時、あと5センチ入身する。入身投げで相手の側面に入身する時にあと5センチ入身する。この5センチ、体だけではなく、心も5センチ入身することが大切ではないかと思っています。