合気道基礎知識 【8】受け身
受け身を取る
受け身は投げられたり、倒されたりした時の衝撃から身を守る為の技法です。投げられたり、倒される力の方向に対し、体を柔らかく丸く使い衝撃をやわらげると同時に元の攻撃の体勢に素早く戻る為の動きでもあります。従って、受け身はやむを得ず「する」のではなく、自らの安全を守るために積極的に「取る」ものです。
よく「受け身三年」と言われます。誰に投げられても、安全にしかも早く受け身ができなければなりません。色々な人に沢山投げてもらうことが受け身が上手になる方法だと思います。受け身で最も注意することは、後頭部や顔面を打たないようにすることです。
単独での受身の稽古
後方へ | いずれの場合も、顎を引き、頭を打たないようにします。 ・後方受け身 膝をしっかり着いて、膝から下、爪先までをぴったり畳に着けます。顎を引き、腕・掌を一様にまんべんなく畳に着けます。 ・後方反転受け身 膝をしっかり着いて、顎を引き、腰・背中の順に後ろに倒れます。倒れた反動を利用してすばやく起き上がります。 ・後方回転受け身 背中を丸く使い、スムーズに体の部位を接地させ、倒れるスピードを利用して回転します。最後にしっかり立つことです。 【後方回転受け身:左半身の場合】 先ず畳の線の左側に左足踵を合わせます。次に足を肩幅に開き、右足の親指は線の内側に置き(線を踏まない)ます。次に右足の親指の所に右膝頭を着きます。爪先はぴったりと畳に着けます。次に両手を丸くし車輪の形を作ります。最初の畳の線上を車輪が転がるイメージです。右膝が線の外側に出たり、左の手が左肩の外に出ると頭を打つ危険がありますのでよく注意します。回転しながら、右足は天井を蹴るようにし、左膝は畳に着けないようにします。起きる時に左手刀で畳をしっかりと押します。(この手が前方回転受け身に役立ちます) |
前方へ | 肘から先の手刀部分の使い方が重要です。 ・前倒受け身 はじめは恐怖心がありますので、なるべく低い位置から稽古します。肘から先全体を使い、ハの字の形で畳を叩きます。顔を打たないように注意します。 ・前方回転受け身 膝を柔らかく使い衝撃を吸収するようにします。はじめは両手を畳に着けます。慣れてきたら、片手を畳に着け、反対の手は大腿部の横につけ掌を後ろに向けておくと、起き上がる時に畳を押しながら起き上がれるので、次の体勢に早く移れます。 |
側方へ | ・側方受け身(横受け身) 横に倒れ込みながら、倒れる側の手全体で畳を叩き、衝撃を吸収します。初めは寝た状態から行い、次に座った状態から、中腰の状態から、最後は立ったままの状態から、側方倒れ込み、受け身を取ります。目は畳を叩く手の指先を見ます。また、反対の手は顔の上方に上げて、顔を防御します。 |
技の中での受けの取り方
体全体で受けを取り、相手の技に導かれていくようにします。(導かれない内は導けません)
取りに対し、力で頑張って抵抗する「頑張り稽古」も、自分勝手な受け身を取る「馴れ合い稽古」の受けを取っていても上手にはなりません。取り・受け双方でお互いの技を磨きあげて行く稽古が良いと思います。
手 | 相手との接点を切らないようにします。強く握ったら最後まで強く、優しく握ったら最後まで優しく握っていく。途中で握りの圧力を変えないようにします。また、固め技の受け身では畳に手をつきますが、その後体勢が窮屈にならないよう動きにあわせ、手の位置を移動させていきます。 |
足 | しっかりと最後まで相手の動きについていきます。足が止まると相手との接点(つかんでいる部分)が切れ易くなります。受けでは膝の柔軟さが特に重要です。取りの動きに合わせ大きく動く場合は、すり足ではなく、踵から着く事もあります。 |
目 | 取りが動き出したら、接点の手の部分の追いかけていきます。 |
臍 | 取りに取られた正中線を取り返すように、相手の正中線に向けていきます。 |