合気道基礎知識 【10】呼吸法
気とは
宇宙の生命力の根源、心身を統一するものを合気道では「気」と表現します。合気道では円の動きが特徴ですが、この円の中心がしっかりしていなければなりません。その中心から「気」がほとばしります。合気道の動きの中心は、人間の重心である臍下丹田と言う場所です。(この臍下丹田は解剖しても出てきません) 臍下丹田を中心として大小さまざまな円を描き出し、それが絶対不動でありながら自在に「気」を発揮させていきます。
呼吸力とは
気の力を「呼吸力」と言います。合気道の技法は、自分が持っている自然の力を一つに集中し、発揮することで相手を崩し制します。この時、手刀や足および腰などの動きを一つにして発揮する力が、「呼吸力」です。
呼吸法とは
呼吸力を技の中でうまく発揮できるように鍛練する方法が「呼吸法」です。呼吸法にはさまざまな方法がありますが、座って行う呼吸法と立って行う呼吸法があります。
座技呼吸法 |
体を前屈させず、かつ後ろにもそらさず、全身の力をゆるめ下腹部が充実するように座ります。 つかませた相手の手を押すのではなく、臍下丹田からの力により螺旋状に振りかぶります。物理的には腰の力を使い、肘から先を内回させ、親指を自分の方に向けながら相手をつき上げます。相手の腰が崩れるまで自分の腰を移動させません。 相手を崩す時に漢字の「十」をイメージします。左右の手が「十」の横棒、相手の体が縦棒とします。一方の手は相手の肩口に切り上げ、もう一方の手は「十」の横棒を少し横に伸ばしながら前下方に切り下げます。手だけを動かすのではなく、「十」全体を動かすようにします。 手の持たせ方は通常は横から、他に上から、下から持たせる、また上から膝に押さえつけさせるなどがありますが、いずれの場合も始動は臍下丹田からです。 ★受け 両手の握りを切らないようにします。相手の力の方向を全身で感じ取りながら体を動かします。起き上がる時は、伸ばしている下の足を曲げずに伸ばしたまま起き上がり、最後に膝をたたみます。この方が早く起き上がれます。 |
立技呼吸法 |
【表】 始動は座技同様、臍下丹田からです。次に腰、足と動かし、掴ませた手は最後に動かします。上げ方は座技の場合と全く同様ですが、常に自分の正中線上を移動します。受けの顎を押し上げた際、自分の手が横、受けの体が縦の「十」で受けを崩していきます。相手に掴ませていない方の手も遊ばせないで受けを前に導くような動きをします。そして、相手のバランスが一番崩れやすい方向へ自分の体全体を動かしなながら、手をおろします。投げるのではなく呼吸力を充実させ、相手を崩すことに注力します。 【裏】 先ずしっかりと転換します。この時自分の掌を上に向けます。次に肘から先の部位を内回させ、座技同様の方法で切り上げ、受けを浮かせます。後は表と同様にして相手を崩します。 ★受け 取りが転換した時に後ろの足の膝を折り曲げたり、尻を出さないようにし、首筋から踵までが一直線になるようにします。後ろ受け身の際、相手に近い方の膝を曲げていきますが、前の足の膝の線より内側に送り込むことが大事です。(頭を打たないためです。) |