古事記研究 【4】
第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放 | ||
1.天地の始まり | 6.天照大御神と須佐之男の命 | |
2.伊耶那岐の命と伊耶那美の命 | 7.誓約 | |
3.伊耶那美の命の死と火神への制裁 | 8.天の岩戸 | |
4.黄泉の国 | 9.五つの穀物誕生 | |
5.伊耶那岐の命の禊 | 10.八俣の大蛇退治 | |
目次| 第1章| 第2章| 第3章| 第4章| ◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順) |
第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放
4.黄泉の国
伊耶那岐の命は、妻の伊耶那美の命が忘れられなくて、黄泉(よみ)の国へ追って行かれた。そして伊耶那岐の命が御殿の閉ざしてある戸口から、伊耶那岐の命に「あなたと私はまだ国造りが終わっていない。だからこの世に戻ってきてほしい」 伊耶那美の命がお答えになるには、「もっと早く来てくだされば良かったのに、私はもう黄泉の国の食物を食べてしまいました。でも、愛しのあなたがここまで迎えにきてくださったので、なんとか帰ろうと思います。ちょっとの間、黄泉の神と相談してきます。その間決して私を見ないでくださいね。」
しかし、伊耶那美の命は、なかなか出てきませんでした。伊耶那岐の命は、ついに中に入る決心をしましたが、中は真っ暗でした。伊耶那岐の命は、左の髪にさしていた神聖な櫛の歯を一本折って、火をともして入って見てみると、伊耶那美の命は体中にウジ虫がわいており、そして頭には大雷(おほいかづち)が、胸には火の雷(ほのいかづち)が、腹には黒雷(くろいかづち)が、陰には析雷(さくいかづち)が、左手には若雷(わかいかづち)が、右手には土雷(つちいかづち)が、そして左足には鳴雷(なるいかづち)が、右足には伏雷(ふすいかづち)、あわせて八種類の雷ができていました。伊耶那岐の命は、大変驚いて逃げ帰りました。
伊耶那美の命は「私に恥をかかせましたね。」と怒って、雷獣、黄泉醜女(よもつしこのめ)を放ち、伊耶那岐の命を追いかけました。逃げる伊耶那岐の命が、黒いつる草の髪飾りを取って雷獣、黄泉醜女たちに投げ捨てたとたん、葡萄の実が生え、黄泉醜女たちがこれを取って食べている間に逃げました。しばらくすると、また追ってきます。今度は右の髪にさしていた神聖な爪型の櫛を折って投げつけました。とたんに筍が生えました。黄泉醜女たちがこれを抜いて食べている間にまた逃げました。
伊耶那美の命は、八種類の雷神とたくさんの黄泉の国の軍を引き連れ追ってきました。伊耶那岐の命は、身につけていた十拳の剣を抜いて後ろ手に振りまわし逃げました。黄泉つひら坂のふもとに来たときに、桃の木があり桃の実を三つ取って、黄泉の国の軍に投げつけました。すると黄泉の軍は黄泉の国へ戻っていきました。伊耶那岐の命は、桃の実に「おまえは私を助けたように、葦原の中つ国人たちが苦しい目にあって困っているときに助けてやっておくれ」と言い、意富加牟豆美の命という名を与えました。
伊耶那美の命は。まだ追いかけてきました。そこで伊耶那岐の命は、「もうあなたは私の妻ではない」と言って、重い大きな岩で黄泉つひら坂を塞いでしまいました。岩の向こうから伊耶那美の命は、「愛しいあなたがこのようなことをするのなら、これから先あなたの国の人を一日に千人ずつ殺します」と言われたので、伊耶那岐の命も「あなたがそうするなら、私は一日に千五百人の子を産ませる産屋を建てましょう」と言われました。伊耶那岐の命は、黄泉の国に止まり、黄泉津大神(よみつおおかみ)と呼ばれました。
◆黄泉の国に登場する神
・伊耶那岐(いざなき)の命 ・伊耶那美(いざなみ)の命 ・意富加牟豆美(おほかむづみ)の命 ・黄泉津大神(よみつおおかみ |
<黄泉の国まで伊耶那美の命を尋ねて行く> <火の神を生まれた時の大火傷が原因で死ぬ> <伊耶那岐の命が桃に与えた名前> <伊耶那美の命の黄泉の国での名前> |
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