古事記研究 【8】
第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放 | ||
1.天地の始まり | 6.天照大御神と須佐之男の命 | |
2.伊耶那岐の命と伊耶那美の命 | 7.誓約 | |
3.伊耶那美の命の死と火神への制裁 | 8.天の岩戸 | |
4.黄泉の国 | 9.五つの穀物誕生 | |
5.伊耶那岐の命の禊 | 10.八俣の大蛇退治 | |
目次| 第1章| 第2章| 第3章| 第4章| ◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順) |
第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放
8.天の岩戸
天照大御神は怖くなり、天の岩戸を開いてその中にお籠りになってしまいました。すると高天原も葦原の中つ国もすっかり闇になってしまいました。
八百万の神々は、天の安の河原にお集まりになって、高御産巣日の神の子の思金の神に知恵を出させました。思金の神は、岩戸の前で盛大なお祭りをすることにしました。まず常世の長鳴鳥を集めて鳴かせました。鍛冶屋の天津麻羅に鉄を打たせ、伊斯許理度売の命にそれを磨き鏡を作らせました。玉祖の命には大きな勾玉のたくさんついている珠の緒を作らせました。天児屋の命と布刀玉の命を呼び祭りの飾り付けの準備をさせました。飾り付けは布刀玉の命がささげ持ち、天児屋の命が祝詞を唱えました。天手力男の神には戸のわきに隠れて立たせました。天宇受売の命が天の香具山の日影かずらをたすきにかけ、真折のかずらで髪を飾り、香具山の小竹の葉を束ねて持ち、岩戸の前に桶を伏せて踏んで大きな音を鳴らして踊るうちに、胸もあらわになりましたが構わず踊り続けました。高天原の神々は、みな一緒に笑われ岩戸の前は大騒ぎとなりました。
天照大御神は、不思議に思われ、天の岩戸を少しあけて中からご覧になられたところを、隠れて立っていた天手力男の神が天照大御神の手を取って外へ引き出し、布刀玉の命は、岩戸にしめ縄を張り中へ入れなくしてしまいました。こうして、天照大御神がお出ましになられたので、高天原と葦原の中つ国は、また明るくなりました。
◆天の岩戸に登場する神
・天照大御神(あまてらすおほみかみ ・思金(おもひかね)の神 ・伊斯許理度売(いしこりどめ)の命 ・玉祖(たまのや)の命 ・天児屋(あめのこやね)の命 ・布刀玉(ふとだま)の命 ・天手力男(あめのたぢからを)の神 ・天宇受売(あめのうずめ)の命 |
<弟の須佐之男の命の暴力を恐れ、岩戸に隠れる> <高御産巣日の神の子で善後策を講じる役目> <鏡を磨く役目> <大きな勾玉のたくさんついている珠の緒を作る役目> <祭りの準備、祝詞を唱える役目> <祭りの準備、岩戸にしめ縄を張る役目> <戸に隠れ、天照大御神を引き出す役目> <踊りと天照大御神に声を掛ける役目> |
・天照すいづ輝くこの中に八大力王の雄叫びやせん ・三千世界一度に開く梅の花二度の岩戸は開かれにけり |
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