古事記研究 【10】
第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放 | ||
1.天地の始まり | 6.天照大御神と須佐之男の命 | |
2.伊耶那岐の命と伊耶那美の命 | 7.誓約 | |
3.伊耶那美の命の死と火神への制裁 | 8.天の岩戸 | |
4.黄泉の国 | 9.五つの穀物誕生 | |
5.伊耶那岐の命の禊 | 10.八俣の大蛇退治 | |
目次| 第1章| 第2章| 第3章| 第4章| ◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順) |
第1章 天地の始まりから須佐之男の命の追放
10.八俣の大蛇退治
須佐之男の命は、高天原から追放され、出雲の国の肥の河上、名前は鳥髪というところへ天降りされました。この時、箸がその斐伊川の川上から流れ下りてきました。そこで須佐之男の命は、人がこの上流に住んでいるとお思いになって、尋ねて上っていったら、老夫と老女と娘が泣いていました。須佐之男の命が訳を尋ねると、「私は大山津見の神の息子で足名椎と言い、これは妻の手名椎と言い、8人の子供がいました。しかし、毎年巨大な首が八つもある大蛇に一人ずつ食べられてしまい、今年はもうすぐ最後に残った娘の櫛名田比売を食べにきます。」それを聞いた須佐之男の命は櫛名田比売を嫁に欲しいと言い、この八俣の大蛇(やまたのおろち)を退治することにしました。
須佐之男の命は、櫛名田比売を神聖な櫛の形に変身させ自分の髪にさしました。そして足名椎の神と手名椎の神に濃い酒が入った大きな器を八つ準備させ待っていました。そこへ、八俣の大蛇が来てたちまち酒の入った器ごとにそれぞれの頭を入れて中の酒を飲み干し、酔っ払って伏して寝てしまいました。須佐之男の命は十拳の剣を抜いて、その大蛇をばらばらに切ってしまわれました。そして大蛇の尾を切られた時に尾の中から剣が出てきました。この剣は特別な剣と思われ、天照大御神に献上しました。これが草薙の剣です。
須佐之男の命は、櫛名田比売とその両親の足名椎の神と手名椎の神を連れて、出雲の須賀というところに来ました。「ここはとてもすがすがしい」としてここに新居となる神殿を作り、周りには八重垣を作りました。須佐之男の命は櫛名田比売と結婚し、めでたくお子の八嶋士奴美の神が生まれました。
ここからが話が複雑になりますが、須佐之男の命は、足名椎の神の父神である大山津見の神の娘の神大市比売とも結婚して、大年の神と宇迦之御霊の神が生まれました。
八嶋士奴美の神は、大山津見の神の娘の木花知流比売と結婚しました。要するに、お祖父さんの娘とも結婚したのです。その子孫が大国主の神で、須佐之男の命の六代目の子孫です。大国主の神(大いなる国の主の神)には、大穴牟遅の神(穴の中の偉大な神)、葦原の色許男の神(他の国の醜男の神)、八千矛の神(武器をたくさん持っている神)、宇都志国玉の神(この世を象徴する神)と五つの名前で呼ばれました。
◆八俣の大蛇に登場する神
・須佐之男(すさのを)の命 ・足名椎(あしなづち)の神 ・手名椎(てなづち)の神 ・櫛名田比売(くしなだひめ) |
<八俣の大蛇を退治する> <大山津見の神(伊耶那岐の命と伊耶那美の命の子)の子> <足名椎の神の嫁> <足名椎の神と手名椎の神の娘> |
◆大国主の神の誕生まで
・大山津見の神の子=神大市比売(女)、足名椎の神(男)、木花知流比売(このはなちるひめ)(女) ・足名椎の神と手名椎の神の子=櫛名田比売(女 ) ◇須佐之男の命と櫛名田比売の子 <6代後に、大国主の神が誕生> 1=八嶋士奴美(やしまじぬみ)の神(男 ) ・八嶋士奴美の神と木花知流比売(大山津見の神の娘)の子 2=布波能母遅久奴須奴(ふはのもぢくぬすぬ)の神(男) ・布波能母遅久奴須奴の神と日河比売(ひかはひめ)の子 3=深淵之水夜礼花(ふかふちのみづやれはな)の神(男 ) ・深淵之水夜礼花の神と天之都度閇知泥(あめのつどへちね)の神の子 4=淤美豆怒(おみづぬ)の神(男) ・淤美豆怒の神と布帝耳(ふてみみ)の神の子 5=天之冬衣(あめのふゆきぬ)の神(男) ・天之冬衣の神と刺国若比売(さしくにわかひめ)の子 6=大国主(おおくにぬし)の神(男) [別名:大穴牟遅(おおあなむぢ)の神、葦原の色許男(あしはらのしこを)の神、 宇都志国玉(うつしくにたま)の神、八千矛(やちほこ)の神] ◇須佐之男の命と神大市比売の子(大山津見の神の娘) =大年(おおとし)の神、宇迦之御霊(うかのみたま)の神 |
・すさの男の玉の剣は世にいでて東の空に光り放てり ・現し世と神や仏の道守る合気の技は草薙ののり |
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