古事記研究 【13】

第2章 大国主の神の試練と国造り

11.因幡の白兎 14.理想の女性を求めて

12.八十神達の凶行 15.海から来た小さな神

13.根の堅州国での試練 16.謎の光る神の出現
目次第1章第2章第3章第4章◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順)


第2章 大国主の神の試練と国造り

13.根の堅州国での試練

大穴牟遅の神(=大国主の神)は、大屋毘古の神から言われたとおり、須佐之男の命のところに行こうとしました。丁度須佐之男の命の娘の須勢理毘売が出てきており、須勢理毘売は、大穴牟遅の神に一目惚れしてしまいました。家に戻って父の須佐之男の命に「立派な神様が来られています」と言い、須佐之男の命は、大穴牟遅の神に会いましたが、「ただの醜男ではないか。葦原の色許男の神と言った方が良い。蛇の部屋にでも泊めてやれ」と言われました。そこで須勢理毘売は、葦原の色許男の神(=大国主の神)に蛇の領巾(ひれ)を貸し、「この蛇の領巾を三度振れば蛇は逃げます」と言われました。葦原の色許男の神は、そのとおりにされ、無事に寝ることができました。


翌日の夜は、むかでと蜂の部屋で寝るように言われました。そこで須勢理毘売は、今度はむかでと蜂の領巾を貸し与え、葦原の色許男の神は、前日と同じようにしてむかでと蜂を追い払い、安らかに寝て翌朝部屋から出ることができました。


須佐之男の命は、次に野原に向けて鏑矢を射、葦原の色許男の神に取ってくるように命じました。葦原の色許男の神が野原に入った時、須佐之男の命は、火でその野原を回りから焼いてしまいました。しかし、葦原の色許男の神は、鼠に助けられ、その鏑矢を手に須佐之男の命の家に帰ってきました。


須佐之男の命は、葦原の色許男の神を大きな部屋に呼び入れて、自分の頭のしらみを取るように命じました。葦原の色許男の神が須佐之男の命の頭を見たら、むかでがいっぱいおりました。それで須勢理毘売は、むくの木の実と赤土を取って、葦原の色許男の神に与え、その木の実を食い破り、赤土を口に含んで吐き出すように言いました。葦原の色許男の神は、言われたままにしましたところ、須佐之男の命は、「こやつ、むかでを食い破って吐き出しとるわ、結構かわいいところもある」と思って寝てしまいました。


このままでいるとまたどんな意地悪をされるかわからない。葦原の色許男の神と須勢理毘売は、逃げる決心をしました。そこで葦原の色許男の神は、須佐之男の命の髪をその部屋の垂木に結びつけて、大きな岩で部屋の戸口に塞ぎ、須勢理毘売を背負いながら、須佐之男の命の生大刀と生弓矢と、天の沼琴を持って逃げましたが、途中で天の沼琴が木に触れて鳴ってしまいました。その大きな音に驚き、眠っていた須佐之男の命が目を覚まし部屋から出ようとしました。しかし、須佐之男の命の髪は、部屋の垂木に結びつけられていましたので、そのまま部屋を引き倒してしまわれました。須佐之男の命が垂木に結びつけられている髪を解いている間に、葦原の色許男の神と須勢理毘売は、遠くに逃げて行きました。


須佐之男の命は、黄泉つひら坂まで追ってきて、はるか遠くの葦原の色許男の神に「お前が持っている私の生大刀と生弓矢はお前にやるから、それで自分の兄弟を山坂の裾に追い伏せろ。また河の瀬に追い払え。お前は大国主の神になって、また宇都志国玉の神になって、私の娘の須勢理毘売を正妻にして、そして宇迦の山のふもとの岩の根にしっかりと宮柱を立て、高天原に届く様な立派な千木(ちぎ)のある新宮を建ててそこに住め。こやつめ」と叫ばれました。宇都志国玉の神(=大国主の神)は、故郷に帰り、生大刀と生弓矢を使い兄弟の神々を追い退け、初めて国を造られました。


ところで、宇都志国玉の神は、例の因幡の国の八上比売とも結婚されました。しかし八上比売は、正妻の須勢理毘売を恐れて、生んだばかりの子供を木の俣に置きざりにし因幡へ帰ってしまいました。それでその子は、木俣の神と名付けられ、またの名を御井の神と言います。


◆根の堅州国での試練に登場する神物

・大国主(おおくにぬし)の神


・須佐之男(すさのを)の命
・須勢理毘売(すせりびめ)
・蛇の領巾(比礼・ひれ)
・むかでと蜂の領巾(比礼・ひれ )
・生大刀 (いくたち)
・生弓矢 (いくゆみや)
・天の沼琴 (あめのぬごと )
・八上比売(やかみひめ )
・木俣(きまた)の神
<大穴牟遅(おおあなむぢ)の神、葦原の色許男(あしはらのしこを)の神、
宇都志国玉(うつしくにたま)の神と呼ばれる>
<根の堅州国を治める大神>
<須佐之男の命の娘で大国主の神と結婚する>






<因幡の白兎に登場し大国主の神と結婚する>
<別名:御井(みゐ)の神、大国主の神と八上比売の子>


★ 道 歌 ★

・気の御わざおろちの靈出や蜂の靈出たまのひ出ふる武産の道



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