古事記研究 【15】
第2章 大国主の神の試練と国造り | ||
11.因幡の白兎 | 14.理想の女性を求めて | |
12.八十神達の凶行 | 15.海から来た小さな神 | |
13.根の堅州国での試練 | 16.謎の光る神の出現 | |
目次| 第1章| 第2章| 第3章| 第4章| ◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順) |
第2章 大国主の神の試練と国造り
15.海から来た小さな神
大国主の神が出雲の海岸を歩いている時、蛾の皮を丸剥ぎにして作った着物を着た小さな神が、天の蔓芋を割った船に乗って、波頭を伝わり近寄ってきました。そこで、大国主の神は、その小さな神に名前を聞かれましたが、黙っておられました。大国主の神は、そばにいる神々に「誰かこの神の名前をしらないか」とたずねましたが、皆「知りません」と答えられました。ヒキガエルが「久延毘古の神がきっと知っとるでしょう」と申し上げたので、久延毘古の神にお尋ねになると「これは神産巣日の神の御子で、少名毘古那の神と言われます」と答えられました。そこで大国主の神が、神産巣日の神に本当ですかとお尋ねになりました。神産巣日の神は「葦原の色許男の神よ、疑り深いな。これは本当に私の子供です。あまりにも小さくて私の手の指の間からこぼれ落ちたのです。お前たちは兄弟になって、その葦原の中つ国を治めなさい」と言われました。
大国主の神(=葦原の色許男の神)と少名毘古那の神の二柱の神は、協力して豊かな国造りをされたのですが、少名毘古那の神は、そのお姿のようにこの世界におられる時間は短く、間もなく常世の国へお帰りになられました。
さて、その少名毘古那の神のことを申し上げたあの久延毘古の神は、今では山田の曾富騰と言われ、歩くことはできませんが、天下のことをすべて知っている神です。
◆海から来た小さな神に登場する神
・大国主(おおくにぬし)の神 ・久延毘古(くえびこ)の神 ・少名毘古那(すくなびこな)の神 ・神産巣日(かみむすひ)の神 ・山田の曾富騰(やまだのそほど) |
<葦原の色許男の神とも呼ばれていた> <歩くことはできないが、天下の事を全て知っている神> <神産巣日の神の子で、大国主の神の国造りに協力する神> <天地のはじめに現れた三番目の神> <久延毘古の神の別名、山田のかかしの事> |
【追:曾富騰(そほど)とは、かかしの事で、童謡『かかし』の「歩けないのか山田のかかし」です。】
◀ 戻る | 目次 | 次へ ▶ |