古事記研究 【16】
第2章 大国主の神の試練と国造り | ||
11.因幡の白兎 | 14.理想の女性を求めて | |
12.八十神達の凶行 | 15.海から来た小さな神 | |
13.根の堅州国での試練 | 16.謎の光る神の出現 | |
目次| 第1章| 第2章| 第3章| 第4章| ◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順) |
第2章 大国主の神の試練と国造り
16.謎の光る神の出現
少名毘古那の神がいなくなられ、大国主の神は「私一人でどうしてこの国が治められるであろうか。どの神でしたら、私と協力してこれからも国作りができるだろうか」と言われました。この時、海を照らして近づいてくる神がおられました。
大国主の神が「あなたはどなたですか」とお尋ねになると、その光る神は「私は汝の幸魂(さきたま・さきみたま・さちみたま)奇魂(くしたま・くしみたま)で大物主の神である。私の御魂を大切に祀っていれば、私は協力しこの葦原の中津国は繁栄するだろう。」これを聞いて、大国主の神は「どのようにお祀りすればよいですか」と尋ねられると「私を大和の国の青々と垣のように廻っている東の山の上に、身を清めてお祀りしなさい」と言われました。この神は、御諸山(三輪山)にご鎮座されている神です。
一方、須佐之男の命は大山津見の神の娘の神大市比売とも結婚して、大年の神と宇迦之御霊の神を生まれました。この大年の神もまたたくさんの子孫の神々をつくられました。
◆謎の光る神の出現に登場する神
・大国主(おおくにぬし)の神 ・大物主(おおものぬし)の神 |
<葦原の色許男の神とも呼ばれていた> <大国主の幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま) 後に御諸山(三輪山)にご鎮座される> |
【追:荒魂と和魂は、同一の神の二面を表しています。】
荒魂(あらたま・あらみたま) 和魂(にきたま・にぎたま・にきみたま・にぎみたま) また、和魂はさらに、幸魂と、奇魂に分かれます 幸魂(さきたま・さきみたま・さちみたま) 奇魂(くしたま・くしみたま・くすみたま) |
:神の荒々しい側面で荒ぶる魂 :神の優しく平和的な側面 :奇魂は奇跡によって直接人に幸を与える働き |
【追:一霊四魂の考え】
人間の心は四つの魂から成り立ち、それを一つの霊が統治しているという考え。一霊を「直霊(なおひ)」と言い、四魂は、荒魂 (勇)・和魂(親)・幸魂(愛)・奇魂(智)です。また、荒魂と和魂を厳(いづ)の御魂、幸魂と奇魂を瑞(みづ)の御魂と言います。
四魂は、一霊(直霊)によって磨かれることにより四段階で成長します。第一段階は、一つの魂が十分に発達した状態で「一徳」、次は二つの魂が十分に発達した状態で「二徳」、次は「三徳」、最終段階は四つの魂が十分に発達した状態で「全徳」と言い、この状態を「伊都能売」(伊豆能売のこと。伊耶那岐の命が黄泉の国の穢れを禊いだ時に生まれた神の一柱)と言います。
・又しても行詰るたびに思ふかないづとみづとの有難き道 |
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