古事記研究 【22】

第3章 地上の平定と天孫降臨

17.復命しない神々と末路 21.地上の平定と国譲り

18.建御雷之男の神の派遣 22.天孫降臨

19.事代主の神の服従 23.嫁選びの過ちと嫁の出産

20.建御名方の神との力比べ
目次第1章第2章第3章第4章◆古事記「上つ巻」に登場する神々(五十音順)


第3章 地上の平定と天孫降臨

22.天孫降臨

天照大御神と高木の神は、太子の正勝吾勝々速日天の忍穂耳の命に「今、葦原の中つ国を平定したという復命がありました。葦原の中つ国に降り、お治めなさい」と言われました。そこで、太子の正勝吾勝々速日天の忍穂耳の命は「私には、天降りの身支度の間に子供が生まれました。高木の神の娘で機織りの上手な万幡豊秋津師比売の命と結婚してできた子で、天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸の命という名前です。この子を降すのが良いと思います」と答えられました。大御神は、孫の日子番能邇邇芸の命に「あなたに、この豊葦原の水穂の国を治めることを任せます。言われたとおりに天降りしなさい」と言われました。


日子番能邇邇芸の命が天降りされようとする時に、天の道が分かれた所で、上は高天原を照らし、下は葦原の中つ国を照らす神がいました。そこで、天照大御神と高木の神は、天宇受売の命に「お前はか弱い女だが、敵対する神ににらみ合いで勝つ神です。お前一人で行って行く手を邪魔する神に『あたしの子が天降りなされる道をなぜ阻むのだ』と問いなさい」と言われました。天宇受売の命がそのように問われますと、「私は、国つ神で猿田毘古の神と言います。お孫様が降りられると聞き、ぜひ案内をさせていただこうと思い、出迎えておりました。」


そして、日子番能邇邇芸の命には、天児屋の命、布刀玉の命、天宇受売の命、伊斯許理度売の命、玉祖の命、あわせて五つの部族の神に、思金の神、天手力男の神、天石門別の神の三神を副えられ、天の岩戸から天照大御神をお引き出しした時に使った大きな勾玉と鏡、そして天照大御神の弟の須佐之男の命が八俣の大蛇の尾から取り出して、天照大御神に献上した草薙の剣(いわゆる三種の神器)を持たせました。天忍日の命と天津久米の命の二神には、天のはじ弓と天のまかこ矢を持たせ先導をさせました。


こうして葦原の中つ国を治めるために天孫の日子番能邇邇芸の命は、一同を従え、竺紫の日向の高千穂の峰の頂上の久士布流多気(くじふるたけ)に降臨されました。日子番能邇邇芸の命は「ここからは朝鮮も見えるし、笠沙の岬にまっすぐ通じており、朝日は正面から昇るし、夕日も辺りを美しく染める。だから、ここは宮殿を建て住むことにしよう」と言われました。


日子番能邇邇芸の命が天宇受売の命に「私の道案内として奉仕した猿田毘古の神は、正体をすっかり明らかにし良く働いてくれた。もう帰ってよいがお前が彼の故郷までお送りしなさい。また、その神の名前をお前が貰い受け、今後もお仕えしなさい」と言われました。この仰せにより、天宇受売の命は、その猿田毘古の神の猿を貰い、猿女(さるめ)とか猿女の君(さるめのきみ)と呼ばれるようになりました。


◆天孫降臨に登場する神

・天照大御神(あまてらすおほみかみ)
・高木(たかぎ)の神
・正勝吾勝々速日天の忍穂耳の命
(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみ)
・万幡豊秋津師比売の命
(よろづはたとよあきづしひめ)
<伊耶那岐の命の子で、、天高原を治める>
<高御産巣日の神の別名>
<天照大御神の長男、勾玉から生まれた神>


<天の忍穂耳の命の嫁、
 日子番能邇邇芸の命の母>


◇天孫降臨の一同

・天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸の命
 (あめにきし くににきし あまつひこ ひこほのににぎ)
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 【親】天照大御神
 【子】正勝吾勝々速日天の忍穂耳の命
 【孫】天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸の命
                         <葦原の中つ国を統治するために降臨>
・猿田毘古(さるたびこ)の神 <国つ神で道案内を買って出る>
・天児屋(あめのこやね)の命 <天の岩戸にも登場、中臣氏の祖先>
・布刀玉(ふとだま)の命 <天の岩戸にも登場、忌部氏の祖先>
・天宇受売(あめのうずめ)の命 <天の岩戸にも登場、猿田毘古の神と結婚し、
 猿女(さるめ)、猿女の君(さるめのきみ)と呼ばれる>
・伊斯許理度売(いしこりどめ)の命 <天の岩戸にも登場、鏡作りの先祖>
・玉祖(たまのや)の命 <天の岩戸にも登場、玉作りの先祖>
・思金(おもひかね)の神 <高御産巣日の神の子で、天照大御神の参謀役>
・天手力男(あめのたぢからを)の神 <天の岩戸にも登場、筋力を鍛えそれを生かす神>
・天石門別(あめのいはとわけ)の神 <布刀玉の命の子、宮殿の門の守り神>
・天忍日(あめのおしひ)の命 <先導役で、大伴氏の祖先>
・天津久米(あまつくめ)の命 <先導役で、久米氏の祖先>


◇日子番能邇邇芸に持たせた三種の神器

・勾玉
・鏡
・草薙の剣



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