第2章 大国主の神の試練と国造り
6. 謎の光る神の出現
少名毘古那の神がいなくなられ、大国主の神は「私一人でどうしてこの国が治められるであろうか。 どの神でしたら、私と協力してこれからも国造りできるだろうか」と言われました。この時、海を照らして近づいてくる神がおられました。
大国主の神が「あなたはどなたですか」とお尋ねになると、その光る神は「私は汝の幸魂(さきたま・さきみたま・さちみたま)奇魂(くしたま・くしみたま)で大物主の神である。 (大物主の神が「幸魂・奇魂」と名乗った背景には、古事記における魂の構造が深く関係しています。【追記】をご覧ください。) 私の御魂を大切に祀っていれば、私は協力しこの葦原の中津国(なかつくに)は繁栄するだろう。」
これを聞いて、大国主の神は「どのようにお祀りすればよいですか」と尋ねられると「私を大和の国の青々と垣のように廻っている東の山の上に、 身を清めてお祀りしなさい」と言われました。
この神は、御諸(みむろ)山にご鎮座されている神です。(現在の奈良県桜井市にある三輪山で、大神神社の御神体として知られています。)
一方、須佐之男の命は大山津見の神の娘である神大市比売(かみおおいちひめ)とも結婚して、大年の神と宇迦之御霊(うかのみたま)の神を生まれました。 この大年の神もまたたくさんの子孫の神々を造られました。
【追記】
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神の魂の構造
神の魂 ├── 荒魂(あらみたま) │ :荒々しく、激しく働く側面 └── 和魂(にぎみたま) :優しく、穏やかに働く側面 ├── 幸魂(さきたま) │ :運をもたらし幸福を与える働き └── 奇魂(くしたま) :奇跡的な力で幸を与える働き -
一霊四魂の考え方
人の心は四つの魂によって構成され、それらを一つの霊がまとめると考えられています。
- 一霊:直霊(なおひ)
- 四魂:
- 荒魂(勇)
- 和魂(親)
- 幸魂(愛)
- 奇魂(智)
また、
- 荒魂と和魂を 「厳(いづ)の御魂」
- 幸魂と奇魂を 「瑞(みづ)の御魂」
と呼びます。 -
四魂の成長段階
四つの魂は、直霊によって磨かれることで四段階の成長を遂げます。
- 一徳:四魂のうち一つが十分に発達した状態
- 二徳:二つの魂が発達した状態
- 三徳:三つの魂が発達した状態
- 全徳:四つすべてが十分に発達した最終段階
この「全徳」の境地を 伊都能売(いづのめ) と呼びます。
伊都能売は、伊耶那岐の命が黄泉の穢れを禊いだ際に生まれた神の一柱として知られています。
【追記】道 歌
- 又しても行詰るたびに思ふかないづとみづとの有難き道
- つきさかきより霊(ひ)はらふ伊都能売(いづのめ)のみ親かしこし神のさむはら
「さむはら」とは天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神の造化三神のことです。