第3章 地上の平定と天孫降臨
4. 建御名方の神との力比べ
建御雷之男の神は、大国主の神に「今、あなたの子の事代主の神は異論がないと言いましたが、他に意見を聞く子がいるか。」と尋ねました。
大国主の神は「もう一人、私の子の建御名方(たけみなかた)の神がおります。他にはもうおりません。」と答えました。
こう言っている間にその建御名方の神が、千人がかりで引く大岩を手先で転がしながら、「私の国に来てヒソヒソ話をしているのは誰だ。 力比べをしようではないか。先ず先に私があなたの手を掴むけど良いか。(この力比べは「手乞い」と呼ばれます)」と言いました。
建御雷之男の神は建御名方の神に手を掴ませると、自分の手を氷柱に変え、次に剣の刃に変えました。建御名方の神は驚いて退きました。
今度は建御雷之男の神が建御名方の神の手を掴んだとたん、若い葦を折るようにいともたやすく掴み投げ放ってしまわれました。
建御名方の神は驚いて逃げて行きました。建御雷之男の神は後を追いかけ、信濃の国の諏訪の湖で追いつき、建御名方神を殺そうとしました。
建御名方の神は「恐れいりました。私を殺さないでください。この諏訪の地以外他の所には行きません。 父の大国主の神の言うことにも背きません。事代主の神と同じくこの葦原の中つ国は、天つ神の御子にお譲りいたします。」と言われて命乞いをしたため、 建御雷之男の神は、建御名方の神を許しました。
【追記】
- 建御名方の神は、大国主の神の中でも特に武勇に優れた神として描かれています。
- この出来事が、現在の長野県にある諏訪大社の由来につながります。
- この力比べ(手乞い)で注目すべきは、「手を掴ませる」という表現です。手は掴まれるものではなく、掴ませるものです。これは合気道の基本につながります。